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2つの中絶手術方法「吸引法・ソウハ法」ついて解説
人工的に妊娠を中断する方法である中絶手術(人工妊娠中絶)。妊娠初期~中期に行われる手術ですが、主に妊娠12週未満の初期に行われることが多いです。初期に行われる手術方法として、「吸引法」・「ソウハ法」の2種類の方法があります。
ここでは、妊娠初期に行われる中絶手術について、吸引法・ソウハ法の違いについてご紹介します。手術時間の長さや、負担の大きさについても解説しているので参考にしてみてください。
中絶手術「吸引法・ソウハ法」の違い
妊娠初期に中絶手術を行う場合、吸引法・ソウハ法が代表的な手術方法です。それぞれどのような方法の手術なのか見ていきましょう。
吸引法とは
吸引法とは、子宮内にストローのような形状の器具を挿入して赤ちゃんとなる内容物を真空状態で吸い出す方法です。
日本ではソウハ法に比べて実績が少ないものの、対応しているクリニックも増えています。
特に、ソウハ法と比べて手術時間が短く身体への負担が少ないのがメリットとされています。
また、子宮穿孔・子宮内遺残・出血など手術による合併症のリスクが低いことからも、WHO世界保健機構や国際産婦人科連合に推奨されている方法です。WHO世界保健機構では特に妊娠12~14週までの外科的中絶の場合に吸引法を推奨しています。
静脈麻酔を行って手術をするため基本的には痛みも感じません。
ほとんどの場合術前処置も不要で、さくま診療所では、出産経験が無い方のための術前処置としてラミナリアという器具を入れ、子宮口を徐々に広げておきます。(経腟分娩のご経験がある方でも、10年以上経過している場合は前処置が必要です。)
(まれにソウハ法と同様に、子宮口を広げる処置が必要になるケースもあります)
心配になる費用ですが、ソウハ法との差はほとんど無いとされており、10万円前後で行っているクリニックが多いです。
ソウハ法とは
ソウハ法とは、器具や鉗子を子宮内に挿入し赤ちゃんとなる内容物を直接掻き出す方法です。現在のところ日本では吸引法より一般的によく知られた方法で、主流となっている方法と言えます。
ただし吸引法と比較すると、母体への負担が大きいことがデメリットです。特に手術時間は吸引法と比べて長く、子宮内で炎症や出血が起きるリスクや子宮穿孔・子宮内遺残などの合併症リスクもその分高くなります。また、術前措置として子宮口を広げる必要があり、痛みを伴うケースもあります。
メリットとしては医師の手によって内容物を掻き出すため、子宮内の状態を手で確認しやすい点です。
中吸引法・ソウハ法の違いを比較
ご紹介した内容を踏まえて、吸引法・ソウハ方の違いを一覧で比較しました。
吸引法 | ソウハ法 | |
---|---|---|
前処置 | 子宮口を広げる処置が必要(10年以内に経腟分娩経験のある方は不要) | 子宮口を広げる処置が必要(10年以内に経腟分娩経験のある方は不要) |
費用 | 10万円前後(手動吸引法は追加費用がかかるケースもあり) ※さくま診療所は追加費用2万円 |
10万円前後 |
リスク | 少ない | 多い(子宮穿孔・子宮内遺残・出血・炎症など) |
メリット | 手術時間が短く身体への負担が少ない | 日本における実績が多い、対応クリニックが多い |
デメリット | 日本における実績が少ない、対応クリニックが少ない | 手術時間が長く、身体への負担が大きい |
痛み | 基本的に感じない | 基本的に感じない |
特徴 | WHO世界保健機構・国際産婦人科連合で推奨されている手術方法である | 現在の日本で主流となる手術方法である |
さくま診療所では吸引法を採用
さくま診療所では、中絶手術において吸引法を採用しています。
次項で解説しますが、自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の両方に対応可能です。吸引法において手間がかかり難しいとされる、使用する機器の滅菌・洗浄なども徹底しています。正しく機器の滅菌・洗浄を行うことで感染症のリスクを減らすことができます。
また、痛みを感じることがなく中絶手術を終えられる「無痛人工妊娠中絶手術」を採用しているため、痛みが伴う筋肉注射は使用しません。
手術中は全く痛みを感じない麻酔をしてから中絶手術を行うことで、患者さんの肉体的な負担をなるべく少なくし、安心して手術を受けてもらえるよう配慮しています。
手術後は麻酔が醒めるまで休む必要がありますが、比較的すぐに目覚め、その日のうちに歩いて帰れます。日帰りで手術できるため、仕事などで休みがとりにくい方にも最小限の負担で済む点はメリットと言えるでしょう。
費用は妊娠10週未満であれば99,000円(税込)、妊娠10週〜12週未満であれば113,000円(税込)です。
初診料・診察料・検査料・採血料・土日割増などは基本的に不要な、シンプルな料金設定となっています。
ただし、手動吸引法(MVA)を希望する場合には2万円の追加料金が必要です。
自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の違い
ここからは、吸引法における自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の違いについてご紹介します。
この二つの方法は同じ吸引法の中でも使用する器具と、どのように吸引するかに違いがあります。手動吸引法(MVA)の方がより新しい手法で、患者の身体への負担も少ないとされています。
まず器具の違いで言えば、自動吸引法(EVA)に用いられるのは金属製の器具で、手動吸引法(MVA)に用いられるのはプラスチック製の器具です。
どちらも同様にストローのような形状をしています。プラスチック製の方が柔らかいので、子宮や子宮頸管、その周囲の組織を傷つけるリスクは低くなります。
吸引方法で見ると、自動吸引法(EVA)は機械によって自動的に吸引を行い、手動吸引法(MVA)は手動で吸引を行います。
吸引法は手術時間が比較的短くて済むというメリットがあります。
総合して、自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)を比較すると手動吸引法(MVA)の方がメリットが多いとされています。
ただ、対応しているクリニックが少ない点や追加費用がかかる場合が多いのがデメリットと言えます。
さくま診療所では自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の両方に対応しており、手動吸引法(MVA)は+2万円で行われています。
中絶手術「吸引法・ソウハ法」後の生活
中絶手術を行ったあと、すぐに日常生活に戻れるのかが気になる方も多いと思います。特に会社勤めで日々忙しい方などは数日の休暇をもらうのも簡単ではありません。
一般的に中絶手術を行った後は2~3日は安静に過ごすことが推奨されています。
ただし、術後の経過に問題が無ければ手術の翌日からデスクワークなど負担の少ない仕事に復帰している方も多くいます。しかしもちろん、重労働や立ちっぱなしの仕事などはできるだけ控えるべきです。このような体力的にハードな仕事をしている方は、3日程度は安静に過ごすことが推奨されます。
また、注意すべきは発熱・腹痛・不正出血です。異変が見られる場合にはすぐに手術を行った医療機関を受診するようにしましょう。
また、中絶手術を行ったあとは血が不足して貧血になる場合もあるため、鉄分が豊富な食物はもちろん、たんぱく質・食物繊維などをバランスよく摂取するようにしましょう。刺激物・飲酒などは手術後すぐは控えた方が安心です。
中絶手術後、妊娠を希望する場合は生理の再開を待って性交渉を行います。術後すぐに性行為を行うと子宮内感染のリスクが高くなるためです。
一般的に術後30~40日で生理が再開することが多く、生理の再開によって身体が手術前の状態に回復しているという目安にもなります。
吸引法・ソウハ法の違いで仕事復帰などその後の生活に大きな違いはありませんが、手術時間や身体への負担を考えると吸引法の方がより回復期間も短いと言えるでしょう。